ピーナッツキャンプ記 ①

千葉県のキャンプ場で2日にわたって行われる「ピーナッツキャンプ」なる音楽フェスに去年の夏、行ってきた。今年で3回目のまだ若いイベントだ。

まずはじめに「夏フェス」と聞いて思い浮かぶのは、「暑い!疲れる!人が多すぎる!」である。

自分好みのアーティストだけが出演すればまだいいが、そういうわけにもいかないし、(仙台で春先に開催されるアラバキロックフェスだけは好みである、大好き)そもそも私は人混みも汗かくのも虫も簡易トイレも無理なのでどう考えても野外フェスに向いてない。

そんな私でもピーナッツキャンプ、本当に楽しかった。大事な夏の思い出になった。思い出だけに止めたくない!忘れたくないからピーナッツキャンプ記をかこうと思い立った。まずは1日目からだ!二日間まるまる参加した。

 

土日の二日間参加するにあたって、まず手始めに月曜日に有給を取得した。これで思う存分楽しめる。最悪寝込むことになっても大丈夫だ。(体力がゼロなので)

直前まで台風の影響が気になったが、それも心配なさそうで一安心。だけどとてつもなく暑くなりそうだ。

交通手段は新幹線。東京まで乗って、そこから総武線で千葉駅へ。千葉駅近くのホテルに宿泊するので、そこに荷物を預けてから会場最寄の駅ちはら台駅へ向かった。

旅行で一番ワクワクするのは目的地へ行く乗り物の中だと思う。それが新幹線ならなおさらだ。楽しみすぎて前日はあまり眠れなかった。小学生みたい。そういう自分を嫌いになれない。新幹線の中で、東京に着いたらこの時間の電車にのって、時間があったらここに寄って・・・などと計画を立てる。あ〜楽しい。

ちはら台駅からは20分ほどシャトルバスに乗る。地元の交通会社が全面協力でバスを出してくれているらしい。ちはら台につくとそれらしい格好の人がちらほら。

(途中でチョコラBBを飲む。前日に「チョコラBBハイパーがどうやら効くらしいという情報を仕入れたばかりだ)

見た目がポップで可愛いバスに乗りこむ。この日は8月も後半だったけどとにかく日差しがきつくて暑かったので涼しいバスは天国だ。

f:id:omochitabeyou:20190120221523j:imageシャルバス。可愛い。

 

バスの中で少し寝てしまい、気づくともう森というか林の中だった。バスの停留所に到着して降り立つ。

前日に買ったばかりの避暑地のお嬢様仕様麦わら帽子(ちょっと美人に見える)が大活躍。お気に入りでそれだけで終始ご機嫌な私であった。

この日は暑いだけじゃなくて、風も強く吹いていた。砂埃が目に入ったりしてヤダな〜と思っていたが、風があるおかげで暑い中でも少し爽やかだ。

ぞろぞろと集団にくっついていく。

 

受付?でチケットとリストバンドと交換。さー行くぞ!

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かわいいゲートをくぐるとひらけた土地が広がっていて、車とテントが立ち並んでいた。かわいいテントが沢山。

テントゾーンをぬけると木に囲まれただだっ広い空間が出現した。キャンプ場ってかんじだ(あたりまえだ)

出店があるところ(仮ににぎわいゾーンと呼ぼう)の奥にはメインのステージ、その横に小さなステージの、2つのステージがあった。メインステージの左側にはまたテントゾーンが広がっている。

2つのステージもにぎわいゾーンもさほど離れてなく、かなりコンパクトな印象だ。こじんまりしてのんびりした感じ。ちいさな子供をつれた家族が圧倒的に多い。私たちの様な軽装備者からキャンプ慣れしたすごい装備の人まで様々だ。犬を連れた人もかなりいる。キャンプ、楽しそうだな〜

 

さて、この日目当ての最初のバンドは台風クラブである。それまで少し時間があるので、賑わいゾーンを散策。お祭りの出店みたい。

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食べ物屋の他にもおもしろい出店がたくさんでていた。手作りティーシャツ体験、オリジナルビーサン作り、地球すくい(金魚の代わりにムニュムニュの地球をすくう、ダブルミーニング)等…オリジナリティあふれる出店…なんかよくわかんないけど楽しい…この雰囲気が楽しい…

色々やってみたいところではあったが、まずは腹ごしらえだ!ということで、屋台にて食べ物(フェス飯って呼ぶのか?なんかヤなんで呼ばないが)物色。適当に肉とポテトと石窯で焼いたピザ(!)とビールを買って日陰へ。

 

日陰のテントは何個かあったがどこも満員。がんばって後ろの方にいれてもらい、強風に苦戦しながらもフェス飯(呼んじゃったよ)にありつく。うま〜。そしてビールを一口。ウマ〜!

実はこうしている間にメインステージにてトッパーの演奏が始まっている。なんだか爽やか。

会場が非常にコンパクトなので、わりとどこに座っていてもステージが見える。

 

一通り腹ごしらえしたところで、そろそろなんか見に行くか!と行動開始する。

サブステージにてコアラモードという男女2人のユニットを見た。ギターボーカルの女性とキーボードの男性。女性が年齢不詳系の美人。私はこのような似ている美人の顔を3人くらい知っているな〜と思いながら見ていた。可愛い。

キーボードの男性、ベースもギターもできるそうだが、いかにもマルチプレイヤーで音楽オタクっぽい見た目でよかった。顔でキーボード弾いてる感じも笑っちゃったが好みだ。細身の黒縁メガネの音楽オタク。このような男性についても数人心当たりがある。

 

さて、お待ちかね台風クラブである。

彼らはスリーピースの京都のバンドで、現在アルバムリリースは一枚のみ。(「初期の台風クラブ」という少々尖ったタイトルである)このアルバムが物凄く良い。けだるくて先が見えなくてどん詰まりだけどまだ何か…という切実さと優しさが詰まってる。

通勤と営業中の車の中で延々とリピートしこの頃めちゃくちゃハマっていた。同行者にもおすすめしたが、あまり好みでなかった模様。まあ人それぞれ好みがあるので仕方ない。

以前スカートとの対談をネット記事で読んだが、相当ひねくれたナナメな奴ら、という印象だった。まあしかしなんというか、ちゃんと何周もした上でひねくれているというか、かなり好印象な捻くれ男達だ。

ステージに出てきた彼らはかなり素朴であった。ステージ自体の手作り感も相まって、誰かの発表会を見にきたみたい。

全部で何曲くらいやったんだろうか。出ているアルバムが一枚なので、ほとんどの曲はそこからやっていた。なんというかもう、こんな風に言っちゃ記でもなんでもないが、最高でしかなかった。

演奏がうまいんだかうまくないんだかよくわかんない。けどなんかカッコ良い。脱力感とやってやるぜ感のバランスが凄くて釘付けになってしまった。目の前のカップルはリュックに入ったワインボトルを出してつぎあいながらノっている。絶対超ぬるいでしょそれ。と思いながら、でもなんか見えるもの聞こえるもの全部面白くて楽しくてちょっと涙が出そうだった。

とにかく曲がキャッチーでなんか夕方っぽいイメージ(バンドのキャッチコピーは“日本語ロックの西日”である)あとメロディが良い。憧れ続けた京都の大学生を想起。

ドラムが結構パワー系で個性的、ギターソロがうますぎるけどなぜか抜けないギター小僧感、謎の貫禄あるベース(パート当てゲームしたら一発でベース!と言われちゃう見た目)。

物販の宣伝では、ちっちゃい子達が可愛すぎて子供用のちっちゃいTシャツ作っちゃいました、ドングリ五個で交換するよ!と言っていて、えーなにそれなんか良いなあとほのぼの。

終わった後はしばらく放心状態であった。

こんな楽しいことあって良いのかな!?とずっと言ってた気がする。こんなに日差しがキツくて暑くて汗だくで強風なのにこんなにも楽しいなんて!

終わった直後、なんだか泣きそう、と恋人が呟いて、ああいっしょに見れてよかったなあと思った。今私たちは確実におんなじ気持ちでいるんだなと思うと尚更良い気持ちだった。(ピーキャン後、彼は台風クラブをヘビロテしていた)

 

さて、少し休憩しようかということで、飲み物を買って日陰へ。猫ひろしとヒロシがサブステージにて謎の漫談を繰り広げているのを横目にメインステージでの演奏を待った。曽我部恵一ワタナベイビーカジヒデキスペシャルトリオの演奏である。清志郎をみんなで合唱したり、途中で台風クラブの三人が飛び込みで演奏したりとお祭り騒ぎであった。

私は途中で一人抜けて座り込んでいたのだが、青春狂騒曲がはじまったので慌てて戻ってみたりと一人せわしなかった。台風クラブのドラムがお祭り男っぽくてかわいかった。

 

この頃になると二人ともかなり疲労がきていて、持参の折りたたみイスに座る人々が羨ましくて仕方なかった。ためしにキャンプ用品が売っている出店をのぞいてみると、なんと800円でイスが投げ売られている。即購入。結構な荷物になるが明日もあるし、良い買い物だ。

買ったばかりのイスを日陰でひろげ、ぐったり。メインステージで小山田壮平の弾き語りが始まっている。

andymoriを通っていないので、興味はあったが遠目に眺めていた。andymoriが大好きな友達のことを考えたりしていたが、始まった瞬間びっくりした。なにこれ、スターじゃん。特別な人じゃん。これは好きになっちゃう、魅力的過ぎる。

MCも終始可愛くてうわー!と思っていた。途中で立ってステージまで見に行った。

 

だんだん日が暮れてきた。日差しがなくなった分暑さも少しはマシ。

サブステージ目の前から少し離れたところにイスを置き、毛むくじゃらで山賊みたいな曽我部恵一の弾き語りを見る。獣のようだ。

 

そして、もう日も落ちてきた頃始まろうとしていたのは、この日最も楽しみにしていたGRAPEVINEのステージである。早めに曽我部を切り上げメインステージへ移動。

前から2、3列目を陣取ると周りは妙齢のお姉さまばかり。リハでメンバーがステージにくるとお姉さま方はみんな目がハートだった。もちろん私もだ。

ボーカルの田中は缶ビール片手にステージをウロウロ。かわいいシャツきてる・・。一回袖にはけてからステージに戻ってくると、さっきとは違う缶ビールを持っている。一体何本飲んでんだ?

あたりはもう薄暗く、空が薄紫色で綺麗だった。ステージを寒色系の照明が照らしている。田中がピーナッツキャンプの合言葉を「let's chill(笑)」とニヒルに笑いながら言って演奏が始まった。

夏の夕暮れ時、辺りを見渡すとステージを含めた広場全体が木々にまあるく囲まれていて、木々の先は真っ暗だった。ステージだけが明るく浮き上がっている。なんというかすごく厳かな雰囲気で、夏の夜が始まるワクワク感と相まって小学生の頃体験したキャンプファイアーを思い出した。ステージの照明には虫達が群がっているのが見えて余計に夏を感じる。この厳かさとバインの曲の雰囲気が本当にぴったりだった。こんなに夏の夕暮れが似合うバンドいる?アコースティックばかり見ていたので、フルバンドの音圧に圧倒されてしまった。光について、風待ち、スロウなど、聴きたい曲ばかりやってくれ大大大満足。(細かくて恐縮ですが、『光について』の歌詞 「イメージの違いに気づかなかった」の「イメージ」部の歌い方が大好き)途中私は何度も田中と目が合い、死ぬんじゃないかと思った。できるだけ可愛い顔をしていなければ、と思ったが無理だった。(この話をした人全員に、勘違いだよとたしなめられる)本番用の白いシャツを超はだけさせてて色気がダダ漏れ・・。全員演奏がめちゃくちゃうまいんだけど、特にベースの人がすごくかっこよかった。コレクターズのコータローみたいな雰囲気で(彼はギターだが)素敵だった。

 

バインが終わると辺りはもう真っ暗。所々の照明が輝いている中、一際目を引くのがド派手なやぐらである。

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帰り際やぐらのそばを通ると、ピーキャン音頭なる盆踊りをみんなで踊っていて愉快だった。元気だったら参加したかったが翌日のことも考えここで退散。山道をめちゃくちゃな運転で走るシャトルバスに揺られ、ホテルへ向かった。

 

追記

この日食べたカレー

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