昨日見た夢

3日に1回、かなりどうでも良い電話が鳴る。こんな時期なのでお互いに暇を持て余している。

その日1日に起こったこと(大したことは起きてない)を一方的に報告され、決まって最後は昨晩見た夢の話になる。

初めのうちは共通してハマっていたウォーキングデッドの影響で、ゾンビに追いかけられた夢だとか(あれにハマるとみんな一度はゾンビの夢を見る)、小中高大の同級生オールスター集合の夢だとか(中学の部活で大学時代の先輩と一緒に練習をしているが全く不思議に思ってない)、すごい事件に巻き込まれてしまったと思ったらいつの間にかそれが自分の見ていた映画だったことに気づいた話だとか(夢の中で視点がコロコロ変わるのはよくある話?)、退屈な夢の話をダラダラと聞いていた。

他人の見た夢の話ほどつまらない話もないが、夢あるあるみたいな話をするのは割と面白い。しかし聞いていると彼の最近の夢は、日に日に現実の生活との境が無くなってきているような気がしてならない。

今日は朝とんでもなく寝坊して大変だった、仕事も集中できなくて全然捗らないから残業して散々でさあ。

そう言う彼に、それは昨晩遅くまでゲームしていたせいでは、と伝える。最近はろくに外へも出れないからゲームか料理くらいしかする事がないのだと反論された。

私は毎日寝坊して毎日バス停まで走ってるよ、と半分慰めるような気持ちで言うと「一回遅刻して怒られるまでその癖は治らないよ」と変にこわい事を言ってきて腹が立ったので明日から早起きしようと決めた。

「あっ、でもさあ」

唐突に夢の話が始まる。でも、夢では今日ちゃんと起きて、しかもお弁当まで作って余裕で会社に着いたんだよ。あ、そうそう。でも、せっかく作ったのに弁当家に忘れちゃったんだ。それだけが今日の失敗だったなあ。結局家に帰ってから夕飯に食べたよ。

ふうん、それは残念だったねえ。あ、お弁当といえば、スープジャーって知ってる?と、そのあとは私が、スープジャーの便利さと、スープがお弁当のレパートリーに加わるとどれだけ生活の質が向上するかについてひとしきり熱弁した。電話中彼はまんまとAmazonでスープジャーを購入し、今度は家に忘れないようにしなきゃと言ってこの日の電話は切れた。